真昼の決闘

High Noon

★★★★★
1952年/85分 #スタンリークレイマー #西部劇

西部劇の歴史を一変させた名作。ダーティハリー、荒野のストレンジャー等の原案で公開時にはオンタイム上映を実施した実験的意欲作。

テーマ曲の話。タイムリミットが刻一刻と迫る。徐々に追い詰められる主人公。BGMには場違いのスローバラードが流れる。これぞ対位法、リピートされる曲は耳につく。

臨場感の話。ジリジリ照りつける太陽、大写しの時計、静かな線路。モンタージュだけで焦燥感が増幅していく。挿話により町の人達の過去と現在が交錯する。全てが計算された画作りの下、物語は緩やかに進む。

女性の話。優しく貞淑な新妻エミイに、じゃじゃ馬で奔放な女主人ヘレン。一見すると天使と悪魔だが、二人が同じ馬車で通過する別れの場面や最終の選択を知れば、両者が同類である事が解る。水と油を融合させるのは、主人公への深い愛。両者が会い見える場面は見所。

悪党の話。ならず者の残虐さを敢えて抑えた演出。仲間と思っていた者は口では感謝や協力を伝えるも、最終的には自分本位な存在。保安官助手も心に潜む人の醜さをじわじわと露呈させ最後に爆発させる。真の悪党は村人だ。

象徴的建造物の話。駅では、悪党降車で不安が訪れ、女性乗車で幸福が去る。ホテルでは女達が、腹わ探りあう事で緊張が訪れ、生き方を模索する事でエゴが去る。何れも過去と現在の分岐点になっている。旅立ちの駅、休息のホテル、安息の教会、息抜きの酒場、全てが落胆の対象となる。

5スジ5ヌケ4ドウサ4テイジ5コノミ

タイトルとURLをコピーしました