寝ても覚めても

AsakoⅠ&Ⅱ

★★★★
2018年/119分 #濱口竜介 #ドラマ

引き込む力を持つ映像。不安定で無機質な空気を漂わせながら、女性の内包する残虐性を描いた新潮流の愛憎恋愛劇。劇中の写真家、牛腸茂雄は、もう一人の人間をテーマに撮り続けた人物。

前半の話。出来事は全て突然に訪れる。熱い接吻、悲しい失踪、静かなる再会、頬に手キッス、無理宣言の電話、震災難民化から再会、広告看板の衝撃、自宅玄関前の恐怖、連行からの逃避行。劇的な出来事の連続により、観客は静かに次第にトランス状態に突入する。

後半の話。出来事は全て前兆を以て訪れる。亮平宅への出戻り訪問、旧友との再会と障害の事実、旧友の母の恋人、愛猫ジンタンの行方。現実的な展開の連続により、観客は夢から覚め、我に帰っていく。

情念の話。麦は生気はないものの、情熱的。亮平は生気に溢れるも、虚無的。朝子は生気もなく、虚無的。故に気持ちは揺れ動く。情熱喪失で募る哀惜、生気喪失で募る不安。選べない気持ち、止まらない想い。女の情念が次第に加速する。

穏和の話。朝子は地元の平川や旧友の母、栄子に助け励まされ自分を取り戻していく。耕介はマヤに演技論で暴言を吐くが嫉妬心を吐露した事により結婚する。穏和と凶暴は表裏一体、どちらかが欠けても味気無いもの。

河の話。一生住もうと二人で誓った自宅前の河が水嵩を増している。汚いけどきれい、な朝子が亮平の元に戻って来た。生きることは過酷、だが恐れず前に進む。

4スジ4ヌケ5ドウサ4テイジ4コノミ

タイトルとURLをコピーしました