男はつらいよ お帰り寅さん

男はつらいよ お帰り寅さん

★★★
2019年/116分 #山田洋次

第50作。舞台は荒崎。主演は寅次郎#渥美清 さくら#倍賞千恵子 竜造#下條正巳 つね#三崎千恵子 博#前田吟 たこ社長#太宰久雄 源公#佐藤蛾次郎 御前様#笠智衆 満男#吉岡秀隆 マドンナ#後藤久美子

満男篇最終話。満男と泉が再会し消えていた恋の炎が再燃する。くるまやの2階に暫く振りの美人宿泊、食卓は華やぎ豊かで楽しい時間が流れる。主題歌「桑田はつらいよ」は粋な計らい、22年ぶりの国民的映画の復活に拍手喝采。終幕は日本の女優史、歴代マドンナが銀幕に甦る。

夢見の話。永遠なる砂丘は第44作「告白」の記憶、満男は無意識の中で泉に愛と未練を叫び続ける。夢見は満男に伝授された。

時流の話。この物語は「男はつらいよ令和篇」で過去作とは一線を画する。泉は国連難民高等弁務官事務職員、御大の御前様は笠から笹野、自由人の及川一男は寺尾から橋爪に変更、役者自身の歴史を反映し時流に則った形となる。

存在の話。満男にとって寅次郎は既成の価値観に風穴を開けてくれる人。非難された時は援護「寂しい思いをしているお嬢さんを慰めようと遥々オートバイでやってきた満男を私はむしろよくやったと褒めてやりたいと思います」。辛い時は激励「どっからでも飛んで来てやるからな」。満男は学んだ事の大切さを今更ながら思い出す。

継承の話。手摺は皆を助ける為の物、金色に輝き中央に鎮座する姿は寅次郎そのもの、言葉や仕草は満男がその遺伝子を継承した。満男は祖父の血を継ぎ小説家、泉は結婚してブルーナ姓、くるまやはカフェ、リリーはジャズ喫茶のママとなった。タコ社長は娘の朱美がお得意の軽率反省セットを継承、彼女のボヤき「御前様の悪口だけは聞こえる」は見所。満男が新時代を告げる「新しい物語がまた始まるんだ」

主題の話。イズミの出発当日、見送りに来た満男は彼女の想いを聞き隠していた妻の他界を遂に打ち明ける。その後第45作「青春」同様に彼女からの想いが詰まった熱いキスの返礼。別離後、彼は次回作の筆を取る、内容は勿論伯父さんの事。本作の主題は終幕に見せる彼の涙。寅次郎の声がする「困った事があったら風に向かって俺の名前を呼べ」

3スジ3ヌケ3ドウサ3テイジ3コノミ

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