オズの魔法使

The Wizard of Oz

★★★★★
1939年/101分 #ヴィクターフレミング

主題は「やっぱりお家が一番」。見所はオズ大魔王のオヨヨ場面、カーテンを捲られ驚きを繰り返す彼、フランクモーガンは大魔王、教授、門番、御者、衛兵の1人5役を演じ本作でコメディアンとしての頂点を極めた。原作はLフランクボーム。彼が他界した際には「世界中の子供が親友を失った」と報じられた。

史実の話。童話刊行から40年後にディズニーが白雪姫を当て企画が始動する。14人の脚本家と5人の監督が競作し、前半はジョージキューカー、後半はキングビダーが演出した。ジョージはドロシーを金髪から黒髪のお下げに変更、これは作品内容を変える画期的なもので偉大な功績。特殊効果はアーノルドギレスピー、回転しながら吹き飛ぶ家、天空に続く竜巻は本物を凌ぐ迫力。家は落下をスローで再現し、竜巻は9mの布を使用した。技術より発想の時代、本作が映画界に与えた影響は計り知れない。

役割の話。ドロシーの行動は最初、帰宅だけが目的。当時女性の役割は家族を守る事で彼女が来なければ皆も動かないという女性的なもの。次第に彼女等は力を合わせる事で強い力が発揮出来る事を知り団結力を高めていく。最終的に彼女は勇気をもって他の人に欠けてる物を探し出してあげる男性的なものに変わっていく。行動が目的となる。

影響の話。扉を開ければテクニカラー、冒頭のセピアからカラーの演出は革命的出来事。続くマンチキンランドでの小人125人の大集合は現代では再現不能。また引用句は米国の文化自体に多大な影響を与えた。「トトここはカンザスじゃないみたいよ」や「やっぱりお家が一番」は呪文の様に米国人に浸透している。ハリーウィンストンは50周年記念の折にルビーの靴を$3,000,000で製作。本作の受賞歴がその影響の大きさを物語る。AFIによる部門別で歴代名画6位、名歌曲1位、ミュージカル映画3位。オスカー3部門を獲得、同年監督は「風と共に去りぬ」で作品監督賞をW受賞した。

災難の話。ブリキ男の銀の顔はアルミ粉を使用し病気を発症、急遽代役を立てられ練粉に変更された。西の魔女の緑の顔は銅を使用し半年経過しても色が取れなかった。当初、西の魔女はセクシー路線のゲイルソンダーガードが配役されタイトな黒衣装で登場、現代にも通用する見事な扮装も首脳陣からは反対され彼女は降板した。災い転じて福となす。

製作の話。MGMは混迷を極めた。ロゴを途中からカラーにしたり、吼獅子の商標自体を変えたりと35種類の案を提出、最終的には簡素化。主演には子役スターSテンプルを強く要望、幼すぎる事と歌唱力に難があり断念。名曲「虹の彼方に」の場面をカットする様に指示を出す、カンザス場面の長さと歌が子供向きでない事が理由も監督は引かなかった。その結果、美しさと品の良さに優しさが足されたあの名場面が生まれた。曲も語りの中に組み込み動きをつけてミュージカルに変化を与えた。その功績は大きい。

願望の話。終焉では皆が欲しい物は既に持っていた物だと気付く。オズ大魔王よりかかしは知恵の卒業証書、ライオンは勇気の勲章、ブリキ男は心の時計を贈られる。しかし彼女達は旅の途中でもそれらを一番発揮したのが自分であった事に気付いていない。踵を3回鳴らそう。願いは叶う。

5スジ4ヌケ5ドウサ4テイジ5コノミ

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