2人のローマ教皇

The Two Popes

★★★★
2019年/125分 #フェルナンドメイレレス

主題は健康器具メッセージ「立ち止まらないで歩いて下さい」。見所はコンクラーベ。投票は青ボールペンにBGMはダンシングクイーンと軽妙なノリに合わせて儀礼的に木球が投函され投票券が手縫いされる様は楽しい。原本は12年枢機卿ホルヘマリオベルゴリオと教皇ベネディクト16世による真実のバチカン対話。

改悛の話。プラトン曰く「なりたがらない者こそリーダーにふさわしい」を引用し物語は展開する。ベルゴリオは「商品に自信が持てないのにセールスマンはできない」と辞職を決意しベネディクトを訪ねるが教皇は「変化とは妥協だ」と拒絶。しかし教皇は「神の声が聞こえなくなった」と辞任を決意する。ベルゴリオはその事を電波とアンテナに準えて民衆に説教を行う。大事なのは前非を悔い改めて心を入れ換える事、ベルゴリオは語る「全ては動く。神もです」

運命の話。ベルゴリオが飛行機を予約した事も神の思し召しである事が次第に露になる。ベネディクトの辞任とベルゴリオの辞職撤回は必然的で相関関係を秘めている。ベルゴリオ入信の契機も極めて必然的、彼は司祭と偶然の出会いを果たし諦めてかけていた未来を取り戻す。彼は司祭の言葉「心の重荷を下ろしなさい」に神の啓示を見た。そして裏切者の過去を乗り越えてヤリクス神父と涙の抱擁を交わす。相手を赦し合う事がお互いの救いに繋がっていく。

蹴球の話。ベルゴリオは「アルゼンチンではタンゴとサッカーは必修」と語りスポーツバーで皆と熱狂するが、店内で教皇の非難を耳にし悲嘆に暮れる。ベネディクトは当初サッカーには全く無関心ながら出前ピザにより協調性が芽生える。14年に2人はTV前のソファーに座り憎まれ口を叩きながらファンタ片手にピザを頬張りW杯決勝を観戦する。

人気の話。ベネディクトはベルゴリオに人に好かれる理由を質問する。彼の答えは「自分らしくいるだけ」。固定観念に囚われず普段から自制し余裕を持つ姿勢が周囲から数多の贈物を受ける理由。ベネディクトはタンゴとアビーロードのCD、庭師はオルガノの苗、民衆は優しい笑顔と大きな拍手を彼に差し出す。何より信仰を通して人生最大の宝となる友人を得た。

懺悔の話。ベネディクトは決戦の地にシスティナ礼拝堂を選択し「最後の審判」を前に熱弁を奮い「涙の間」で結論を得る。彼は辞任表明を皆が理解出来ないラテン語を使用するがベルゴリオだけがその理由を見抜いている。教皇就任後初の挨拶は「涙が流れるなら嬉し涙であります様に」。世界の未来は彼の掌中にある。

完璧の話。ベルゴリオは左翼活動家の濡れ衣を着せられた司教仲間を守れなかった事実を悔やみ、ベネディクトはナチ少年隊ヒトラーユーゲントの一員であった事実を悔やむ。教皇就任後の罵声を甘んじて受け「法王といえども人間だ」と達観する。過ちを赦せるのが人間、完璧な人間はいない。

5スジ4ヌケ4ドウサ4テイジ5コノミ

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