
What Did Jack Do?
★★★
2017年/17分 #デヴィッドリンチ
主題はリンチの問い「共産党の一員か」。見所はジャックがトゥータタボンへの愛を歌い上げる原曲「True Loves Flame」。原本はオリジナル。74歳の誕生日に写真集出版記念として制作されたNetflix限定作品。監督と尾巻猿が語り続ける17分間。
相反の話。刑事は監督本人、如何にもベテランらしい台詞回しは意図的なもの。ジャックへの詰問は容疑者が黒か白かを曖昧にする為のもので興味を持って眺めるのがお勧め。二人の会話が続く程に不条理が加速していく。相反する事象、無邪気な丸い目玉に憎まれ口、少ない動きに早回しの口許は観客の興味と不安定な感覚を覚醒させる。映像は一貫性を保ちつつ定型化されたものを繰返し使用、変調させる事で劇的効果を生み出している。
事件の話。雄鶏のマックスが殺害される。容疑者は猿のジャックとオランウータンのシェルビー。3人共に雌鳥のトゥータタボンに恋をしていた。目撃者は娼婦のサリーで彼女は真犯人のシェルビーと肉体関係にあった。本作には物語を求めず表象を膨満させる事が必要である。
物体の話。「トゥータタボンの羽毛の胸元に手を入れる」。羽毛も胸元も挿入も全て色気のある響きを奏でる。「真実の愛はバナナだと人は言う」。完熟への心象が肥大化する。何れも一文で想像を掻き立てる台詞である。ジャックは種族を超越した有情、バナナは果実を超越した愛念として存在している。
3スジ3ヌケ3ドウサ3テイジ3コノミ