
Malevolent
★
2018年/88分 #オーラフデフルール
主題は冒頭の一節。SJTディヴァイン「死者はこの世に戻らぬが去らぬ事はある」。幼女は守護天使となり兄妹を救済に導く。
見所は逃亡を図る途中で彼が幼女に驚き妹が尋ねる一言「お兄ちゃん視えてるの」。兄も霊視が可能となり誰が視えて誰が認識するかの混沌が生まれる。
原作はオリジナル、Netflix作品。主演はアンジェラ#フローレンスプー、ジャクソン#ベンロイドヒューズ、グリーン#セリアイムリー。
仲間の話。アンジェラは偽霊能者で本業は心理学部の女子大生。霊媒師チームはリーダーが兄ジャクソン、撮影がアンジェラに密かに思いを寄せるエリオット、雑用で兄の恋人ベスと仕事というより仲間の延長。チームは霊の存在を信じる依頼人に本物らしい事を言い悪霊退治金を銀行口座に振り込ませ生計を立てている。
安心の話。偽悪霊祓いはアンジェラとエリオットが部屋に入り依頼人とジャクソンはモニターで映像を観てジャクソンがトランシーバーでアンジェラに指示出しする形式。低画素数のモニターは臨場感を倍増させる。事前に調査した依頼人の背景に合わせ会話や笑いの音声を流し演出する。カウンセリングや占星師のシステム同様、応答傾聴による安心販売業と言える。
最悪の話。チームの実情は依頼人を騙して荒稼ぎする悪人だが依頼人が満足する分には有益な存在とも言える。チームは其処を勝手に解釈し自らの論理で受注を受け続ける。しかしある依頼が彼女の運命を変える。アンジェラは依頼人の言う死んだ妻の霊に遭遇し失神、ここから題名にもなっている彼女達の「最悪」が幕を開ける。
曖昧の話。アンジェラはその日を境に霊の存在が見える様になる。教授に呼び出され説教をされる最中、男が侵入してくるが教授には見えない。男は幽霊で普通に何事もなく消えていく。この様に人間と幽霊の扱いに違いを持たせず何が真実かを曖昧にする点は実際に生活する我々の恐怖を加速させる。
錯乱の話。幽霊と断定するには客観性が重要である。主観では本人錯乱の可能性も高くアンジェラはそれを理解する為、騒がない。彼女が祖父に相談に行くと5年前に他界した母は霊が見えると言い霊能者となって錯乱、両眼を潰して自殺した事実を知る。そこで自分の能力は血筋と理解も祖父は母の死がトラウマとなっており相談は出来なくなる。
過去の話。アンジェラは兄の依頼を拒絶するが兄が借金で脅されているのを知り引き受ける。グリーン女史の依頼は屋敷に少女達の霊が出るお祓い。アンジェラが事前に調査をすると、その屋敷では発狂した男が幼女の口を縫い殺害した事件が過去に発生、犯人はグリーンの息子ヘルマンと言うおぞましい事実が浮かび上がる。
霊視の話。ジャクソンはいつも通りに作戦を実行するがグリーンは彼等の魂胆を見透かし威嚇「貴方、どのお客にもそんな風に喋ってるの、芝居は止めて」。アンジェラは徒ならぬ雰囲気を感じるが成す術は無い。そして彼女は口を縫われた少女の霊を間近で目撃し失神、エリオットが尋ねる「この間の事件から何か視えてる」
落下の話。アンジェラとエリオットが先に進むと幼女の霊が現れ二人を先導、少女の霊に導かれ先に進むがエリオットが床板を踏み抜き下階に落下、片脚を骨折する。彼が落下した部屋は殺された少女たちが監禁されていた部屋。壁には少女が書いた口を縫われた少女やHELPの文字が刻まれる。
頻発の話。ジャクソンはグリーンに祈祷の終了を告げ代金を請求するが彼女は如何様を指摘、彼を執拗に責め立てる。その異常性に恐怖を感じ、回収を諦めた彼は皆に撤収を指示、アンジェラ達と合流し逃亡を図るがその最中にも次から次と怪奇現象が頻発する。
真相の話。事件は母親グリーンと息子ヘンマンが一緒になって幼女を虐待、鬼畜の所業を繰り返していたという事実。終幕はエリオットが参入しヘルマンをナイフで一刺し、グリーンは鉈で応戦するが幼女の霊が現れ助けとなりアンジェラが止めを差す。幼女達は警告としてアンジェラ達に語りかけており、彼女達は幼女の霊に助けられていた。
縫製の話。殺人鬼が口を縫製する所業は鬼畜そのもの。理由は明確には示されないが騒音的な苛立ちと推察される。そして幼女に止まらずベスもジャクソンもアンジェラも次から次に毒牙に懸かる展開は衝撃的。作業自体が淡々と進行していく様は現実的であり、後半部分は戦慄を覚える。
2スジ1ヌケ2ドウサ1テイジ1コノミ