バットマン ビギンズ

Batman Begins

★★★
製作2005年/141分 #クリストファーノーラン

主演はブルース#クリスチャンベール、ヘンリー#リーアムニーソン、レイチェル#ケイティホームズ、アルフレッド#マイケルケイン、ジム#ゲイリーオールドマン、ルーシャス#モーガンフリーマン、ジョナサン#キリアンマーフィー、ラーズ#渡辺謙

主題は父トーマスの言葉「人はなぜ堕ちる、這い上がるためだ」。彼は正義感の強い慈愛に溢れた外科医、井戸に落ちたブルースを助けた後に挫折にも挫けずに芯の強い男になる事を示唆する。

見所はレイチェルの返答場面「人の本性は行動で決まるの」。ブルースは眩惑効果として豪遊するがレイチェルにパーティー会場で偶然出会い、本当の僕は全く違うと真相めいた言葉を囁く。現実家である彼女の一言は復讐しか見えない彼の心に突き刺さる。

原作はオリジナル。DCコミックスの実写作品でリブートされた#ダークナイトトリロジー 第1作目。フランクミラー「#ダークナイトリターンズ」を中心にイヤーワン、ロングハロウィーン等から着想される。

装備の話。スーツは防弾防刃アーマー付、1層目は温度調整器、2層目は二重織ケブラーで陸軍用1着$30万の精鋭部隊サバイバル用、分子編成で変形する形状記憶繊維マント、大量製造マスク、無線機収納ヘルメット完備。トランスポンダーは踵収納の低周波器で蝙蝠を呼び頭痛を与える。バットラングは蝙蝠手裏剣。グラップルガンはアンカー銃。モービルは軍隊用試作の特殊装甲車両でロケットエンジン、小型爆弾、自動砲2門搭載、全防弾処理済。

取組の話。03年現実的で暗黒、人道、実存を目標に制作。従来のスタントやスケールモデルに拘りCG使用は最小限。ヴィランはラーズ、スケアクロウ。恋人はレイチェルドーズ。ハリウッドにフィクションでシリーズの連続性を捨て制約なし再起動のリブート概念を普及、リメイクとは元作品反映面で異なる。

四方山の話。クリスチャンはタンブラー購入希望を続編使用で断念。ブルースの車はランボルギーニムルシエラゴ、西語で蝙蝠の意。格闘場面は新興武術ディフェンスラボ採用。BGM全12曲名は蝙蝠の学名に由来。

旗印の話。ヒーローは現実世界の役割とは何かを徹底して追及する。ブルースはゴッサムが犯罪者の街ではない事を市民に示し無関心から解放する為にシンボルが必要と語り永遠を目指す。漫画的な荒唐無稽さを借りてバットマンは異常な存在として犯罪撲滅の為の旗印となる。

善悪の話。トーマスは強盗チルに殺害されるがチルは父が助けようと力を尽くした貧困層出身。ブルースはチルの公衆会で復讐を果たすべく暗殺を目論むが、直前で街を牛耳るファルコーニの手下が彼を暗殺する。正義は下されたと安堵するブルースにレイチェルがと説き伏せる「正義は秩序の為、復讐は自己満足でしかない」。至る処に善悪の曖昧さが見え隠れする。

倫理の話。ファルコー二が追い討ちを掛ける「両親を殺された位で世の中の闇を理解したと思うな」。ブルースは犯人に罰を与えても犯罪は消えず根絶の為に犯罪そのものを知る必要があると考え所有物を放棄し犯罪心理学を会得する旅へ出る。彼が語る「初めて盗みを働いた時、其まで単純だと思っていた善悪の判断がつかなくなった」

儀式の話。ブルースは単純な悪を成敗するバットマンとしての活躍に止まらない。一人の人間が葛藤の果てに成長する過程も見せ付ける。彼が持つ二面性は富豪への嫌悪と臆病からの狂気、彼の変身は成敗ではなく安堵であり其が本来の自分を取り戻す慰めの機会を与える儀式となる。

自信の話。ブルースは恐怖の対象となる蝙蝠を自らの中に取り込む事でトラウマを克服し、それを逆手にヴィランに恐怖を植え付ける。更にはトランスポンダーを使い蝙蝠達を味方につける。大量の蝙蝠から悠然と現れる彼は自信に満ち溢れる文字通りのヒーロー。

整理の話。ラーズアルグールは正義の名目の元、自分達の手で悪を抹殺する影の同盟のリーダー。冒頭は渡辺謙が登場し事故死となるも後半ではヘンリーがラーズとなって再登場は困惑するが此は影武者の設定。次代となるべき前日譚やブルース対決への図式は物語を整理する必要を感じる。

悪役の話。ヴィランの途中交代は悪が多層的な構造を示す解釈となるがスケアクロウの異常性は際立っており残念な印象。円らな瞳に映る狂気は悪魔性を表現するに十分な要素を満たしている。善悪の境界線なき世界は二元論として十分なものとなるがヒーロー物に於いては幾分判り難い。

3スジ3ヌケ4ドウサ4テイジ3コノミ

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