Little Women
★★★★
原題#LittleWomen
製作2019年/135分 #グレタガーウィグ
主演はジョー#シアーシャローナン､メグ#エマワトソン､ベス#エリザスカンレン､エイミー#フローレンスピュー､婦人#ローラダーン､叔母#メリルストリープ､ローリー#ティモシーシャラメ､マーチ#クリスクーパー。
主題はジョーが不安や疑惑の中で静かに呟く一言｢私は孤独だ｣で表現。原作者オルコットは生涯独身を貫いたが若草物語で原作者の分身ジョーは結婚する。現代とも通ずる等身大の女性と原作者の本当に描きたい結末を推察してリブートする。
見所は衣裳。マーチ家の姉妹を節約志向や性格背景を基に色や素材に配慮して表現する。色合いはジョーが赤､メグが緑､ベスがピンク､エイミーが青､母ミセスは四姉妹全ての色を使用しており彼女の影響を姉妹が受け継ぐものとした。
原作は1868年発表の小説､#ルイーザメイオルコット｢#若草物語｣。1860年代マサチューセッツで暮らす家族の物語で続若草物語を踏まえ成人姉妹に焦点を当て時系列を変えて再構築する。本作はジョーと編集者の攻防が描かれるが原作には存在しない。商業的成功を必要とされた時代の背景を切り捨て現代に生きる女性へのメッセージとする。
長女の話。メグは従来の女の幸せを手に入れる。清貧や愛情は両親最大の贈り物で家族の宝物､その最大の継承者となる。配役は優等生エマという点も絶妙､彼女は幸せだ。
三女の話。ベスはピアノの如き美しさと儚さを持つ。ベアが彼女のピアノを弾く場面は末娘の思い出と共に悲しみが噴出。彼女はジョーに創作の楽しさを呼び起こさせる｢若草物語｣最大の功労者､彼女は幸せだ。
四女の話。エイミーはフローレンス独特の愚鈍的雰囲気の中で四姉妹初の人生選択で愛する人と富の両方を手に入れる。彼女はジョーとは違う意味でのガーウィグ人生の投影者､彼女は幸せだ。
意思の話。監督ガーウィグと原作者オルコットは数多くの重なりを持つ。その為､監督は原作者の想いに寄り添いながら製作を進める。シアーシャは二人の人生の代弁者となり主人公ジョーは表現者となる。意思を持った女性4人が本作で一つに繋がる。
運命の話。ジョーはNYで作家を夢見るが上手く行かず｢若草物語｣編集者と知り合い結婚､同作で成功。ガーウィグはNYでダンサーを夢見るが上手く行かず｢#フランシスハ｣監督#ノアバームバック と知り合い結婚､｢#レディバード｣で成功。生涯独身のオルコットはジョーに同じ道を望むが時代が許さない。3名の女性は同じ運命を持つ。
思想の話。監督はオルコット｢8人のいとこ｣からも着想し本作を紡ぐ。作中で主人公は結婚して死ぬまで何もしなくていいのかと周囲に問い掛け結婚は生活の一部と主張､本作でエイミーは家事や子育て以外にやる事があると主張した。メリルは敢えて台詞追加を依頼する｢金持と結婚する事は大事､結婚は愛が大事なんて甘い事言わないで｣
価値の話。エイミーは富豪のローリーと結婚するが彼女もジョー同様に結婚が女の幸せとは思っていない。メグは貧乏な教師と結婚するが愛ある結婚が幸福と感じている。メグはジョーに主張｢貴女には貴女の幸せ､私には私の幸せがある｣。時代は違えど個々の価値観は異なる。母はジョーに本音を漏らす｢私は人生を通じて怒っていたわ｣
良心の話。ジョーは里帰りの機会で過去に遡り家族の大切さを知り故郷の良さに気付き始める。幼い頃に皆で作ったポストは今も健在､想いを込めてローリーに手紙を認めるが気持ちは届かない。全ての者に時間は平等に流れており経過は残酷な結果をもたらす。結果はどうあれ前を向いて生きる。
表現の話。ジョーはペチコートやコルセットは着けず男物ジャケットを羽織りエイミーは当時の最新ファッションを身に纏う。ジョーは動的で自由､エイミーは静的で奔放な自己表現。全員が集合するローレンス家の場面では交響曲の様な台詞回しが交わされる。監督は台詞はリズムと唱え全員が喋る際は抑揚や音量を演出する。またローリーと姉妹のダンスシーンは本作最大の見物､若手人気俳優陣の高まりが伝わる。
再現の話。オルコット家は当時の面影を忠実に再現する。歴史ある外観に宝石箱の様な室内､姉妹は若草物語の伝統となる全員が一塊になって手紙や編物に向き合うスタイルそのままに再現する。時代が変われども変わらない大事なものを確実に継承する。
翻案の話。ベスは猩紅熱により逝去してしまうが原作では一度持ち直しての他界。本作では現在と過去で時間軸を変えて家族と三女の別れを表現する。二軸を一軸にする事で彼女に対する個々の感情に対比が生まれ喪失の悲劇性が強まった。また｢若草物語｣出版を決定付けるのが編集者の子供達である点は差別的な現代社会への皮肉。
5スジ4ヌケ5ドウサ4テイジ4コノミ
