砂の器

Castle of Sand

★★★★
1974年/143分 #野村芳太郎 #ドラマ

宿命を拒み、恩を仇で返す非人道的な男の末路。ラスト30分リサイタルからの進行は圧巻。野村監督、橋本脚本の代表作。ニューシネマパラダイスと前後上映は同主題の為か。

冒頭の話。子供の頃の遊びは買い与えられた玩具ではなく、浜で無心に作った砂製の食器。その中には夢や希望が詰まっていた。大人になって思い出は茜色に変われども、決して失ってはならない大切な記憶。

執念の話。自費での調査旅行や叢中を這い廻る捜索等、刑事達は真実の追及に寸暇を惜しまない。そこにはプロのプライドよりは、果たし合いを挑まれた者達の意地を感じる。二人の執念が、亀田を亀嵩に、紙吹雪を端切れに変化させている。

連鎖の話。愛人恵美子の堕胎話から始まる偶然が事件を解決に導く。時空を越え複雑に絡み合う完全犯罪が破ぶ瞬間、不運が不幸を招き入れ、真相を暴く連鎖が生まれる。悪運は尽きるもの。

宿命の話。交響曲の調べに乗せ、楽しくも忌まわしき記憶が走馬灯の如く、浮かんでは消える。重ねた間違いが、晴れの日を果ての日に変えていく。運命に抗う事なかれ。

役者の話。千代吉役の加藤嘉は実在するかの如きハマり役。また三木役の緒形拳は善人から大悪党迄、役を選ばぬ幅広さを見せつける。この二人を見るだけでも十分満足する作品。

4スジ4ヌケ4ドウサ3テイジ4コノミ

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