トータルリコール

Total Recall


1990年/113分 #ポールバーホーベン #SF

ブレードランナーと同原作者FKディックが産みの親。ブレードランナーから8年、時代は進化しているか?バンホーベンお得意のエログロ強炭酸アプローチはある意味、必見。

造形の事。無酸素環境での内臓膨張やマダムからの断裂変身、追跡玉の鼻捻り出し場面は必見、その視覚効果は目を見張るものがある。またX線検査機では人骨にわざわざ陰影をつけ現実味を生み出している。如何せん未来車やリアクター等の重要な位置を占める機器は極めて平面的で安易な表現となり、未来都市は陳腐化した。

キャスティングの事。現実の妻は肉感的且つ躍動的で悪女たる魅力を爆発させたが、理想の女はその反動で貧相に写り、乗り切れない。ローリーがプロのスパイである事を贔屓目に見ても、メリーナはこの物語の女神としては大いに物足りない。

記憶の事。列車内広告からのリコール社訪問や記憶の植付け失敗からの乱闘、同僚ハリーのフィクサー化やタクシー運転手の裏切りは、夢の中ではありえる話も、脚本が練り込まれていない為、説得力に欠ける。説明の背景が不足した事で子供騙し感が加速した。

リアクターの事。採掘会社の社主コーヘイゲンはリコール社同様の装置を用意するも、その出所は不明。HERO誕生最大の見せ場となるリアクターの稼働も淡々と進む作業に終始し、山場を逸した。せめて最期はキスでの大団円だけは避け、ミステリアスな残り香を漂わせて終わるべき。

2スジ2ヌケ1ドウサ0テイジ2コノミ

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