
Butch Cassidy and the Sundance Kid
★★★★★
1969年/110分 #ジョージロイヒル
西部劇ではありえない南米逃亡の脚本は完成8年、原稿料は破格の$40万。69年反戦真っ只中、現実世界に神話的要素を加えたポストモダンな物語。
史実の話。ブッチやサンダンスは勿論、登場するのはほぼ全て実在の人物。背景は壮大な自然でジャンルはムードコメディ。主題は青春の煌めき。エッタは謎多き女性で教師か娼婦で資産家の愛人の子。2人との関係は謎も3人が親密なのは紛れもない事実。ボリビアの連続強盗から豪華衣装の食事場面は楽曲に載せて生きる歓びが溢れ出す名場面、エッタの「貴方達の死を見るのは嫌」は名台詞。レッドフォードは冒頭の長いクローズアップで一流の仲間入りを果たす。
名曲の話。「雨にぬれても」はブッチの曲。旋律は楽天的だが歌詞は彼の内面を表す辛辣な内容。彼はお気楽に見えるがツキがなく何をやっても上手くいかない。言わば自分にだけ雨が降る様な男。3人の絡みは他の場面にはなく、ブッチとエッタの友情も含め関係性はここで示される。この場面の他の候補曲にはサイモン&ガーファンクル「59番街の歌」があった。
転義の話。強盗爆破の直後に追跡隊が登場する。疲れを知らぬ何物かが二人に迫り来るが決して逃れられない。追跡隊は迫り来る20世紀の暗喩。キッドはダイブ前に泳げない事を告白、崖からの飛行は自由の隠喩。ブッチは盗賊退治前に人を撃った事が無い事を告白、初めての殺しは束縛開始の比喩。
神話の話。本国の追手等、無用な心配をしながらも二人は覚悟を決め新たな世界に飛び出す。銃弾の雨が一斉に降り注ぐ。二人の時間は止まりセピア色の記憶に変わる。彼等は永遠の存在となった。
4スジ5ヌケ4ドウサ5テイジ5コノミ