
Dog Day Afternoon
★★★★
1975年/125分 #シドニールメット
密室劇の達人が描く真夏のNY。暑苦しく退屈な午後の信じられない出来事。
境遇の話。ソニーは同性愛者で性転換を望むレオンの為に強盗するが、普通じゃない普通の男。彼は手術費用の工面や不満しか持たない本妻の文句、聞く耳持たぬ母の愚痴に悩まされ、その境遇が事件の引き金となる。恋人同士の電話は見所で愛し合いながらも共存できない二人は「夢でお会いしましょう」を最後に永遠の別れを交わす。
人質の話。全員ストックホルム症候群を発症。後輩を見捨てない出納係、銃の扱いを教わる窓口係、解放時間を電話で話す恋人同士、発作で解放される警備員と残る支店長。全員個性的も実は個性不要として楽しい雰囲気だけを監督は要求した。集団でのバス乗車からは緊張感が次第に加速する。
遺言の話。アルの名演は見所。口述内容は実際の声明文の引用。事実の集積も後に残るのは喪失感だけ。彼は面倒見が良く放っとけない性質だが自分を幸せの魔術師と勘違いし、愛や助けを求め失敗すると激昂し人を拒絶する性格。
喜劇の話。本作は悲劇的喜劇。仲間は直前逃亡、スプレーは防犯カメラに届かず、警備員は恐怖で倒れ、強奪金は僅か$1100、支店長は脱出失敗を攻め、相棒サルは知り合い直後で極めて繊細。彼のアドリブ「ワイオミング」は傑作。そして彼は群衆の英雄となる。聴衆は野次で本音を伝え、ピザ宅配人は配達でガッツポーズ。犬を撫でればHERO、蹴れば悪役だ。
4スジ5ヌケ5ドウサ4テイジ4コノミ