
Le Charme discret de la bourgeoisie
★★★★
1972年/102分 #ルイスブニュエル
ブルジョワ6人の特権をプロレタリア視点で痛烈に批判。既成事実の破壊、シュールレアリズムの名作。
浪費の話。ブルジョアは一本道を歩き続ける。連中は何もしないで生きられるが、何もせずに一生を終える。常に車を使い無駄な労力を使わない、これは一行が緩やかに死に向かっている事を暗喩する。
食事の話。一行は食という基本欲求を満たせない。夕食招待では一方的な予定違い、食堂では店主の葬儀、再訪問では性欲処理、カフェでは全メニュー品切れ、パーティーでは軍隊訪問、大佐主催の会では擬似肉、ディナーではテロ乱入、食にありつけない度に死期を悟り、その執着は絶望的な試行。結局ありつくのは冷蔵庫の余り物。
夢幻の話。電気ショックで落ちるピアノのゴキブリ、元夫の血まみれの顔面、適当に銃口を向ける男、転がる犬の玩具。日常が夢幻の連続で連鎖しつつも終結しない矛盾の世界。夢の中には死が登場する。母と旧友と警察官の幽霊、レストランの死体、殺された老人、夢は死から逃れる為ではなく理解し生きる為のもの。
反復の話。反復が真実となる。不条理は加速し軍隊や教会を巻き込む。ディナーは演劇に、大佐は射殺され司教は射殺し、全員が銃撃戦で射殺される。夢と現実の境界線が曖昧となり自分の夢が他者の夢、他者の夢がまた別者の夢と意識と無意識が流転する。
狂気の話。作家は上流社会に反論しつつ批判はしない。階級に無秩序と狂気を注ぎ楽しむ。司教は庭師、駐屯隊は邸宅、大使はテロと戯れ、実業家は麻薬密売人に。全ての社会層が無秩序に入り乱れる。
4スジ5ヌケ4ドウサ5テイジ4コノミ