
Mary Poppins
★★★★
1964年/139分 #ロバートスティーヴンソン #ハミルトンSラスク
ウォルトが原作者トラヴァースと20年の交渉を経て実現した悲願作。後に彼女は彼を「私に催眠術をかけた様」と評した。女性解放が隠されたテーマ。
魔法の話。「東の風、何か始まる前触れだ」でお伽噺が始まる。メリーが空から華麗に舞い降りる。桜通りの美しさと共に我々を一気に夢の世界に誘う。メリーがやって来た理由は子供達のお願いの手紙。コートの赤裏地が彼女の明るさを表す。何でも出てくる絨毯のバッグ、性格を当てる不思議な巻尺等、全てが暖かく優しさに満ちている。
楽曲の話。シャーマン兄弟の音楽が魔法。おまじないの歌「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドゥシャス」は言葉遊びを越え物語の行方も示す。「チムチムチェリー」は人間の繊細さ、「楽しい休日」は2人のプラトニックな関係、「凧を揚げよう」は家族の素晴らしさ、「鳥の餌売りの歌」は慈愛の心、「2ペンスを鳩に」は心遣いで運命を変える勇気を暗喩する。
技術の話。ディズニー35年の結晶、スタッフの才気が迸る。人が吹飛ばされ空に浮かぶ、黒煙が階段に変わる、世界初オーディオアニマトロニクスでは小鳥やオウム傘が自由に歌い遊ぶ。ペンギンの給仕や木馬の競馬は完璧なシンクロに唸る名場面。エレンショーのフラスコ画は実物以上の精密さ。
主張の話。バートは多幸感に溢れた永遠の少年でウォルトの分身。アルバートは楽しいと浮き、悲しいと沈む摩訶不思議な伯父様。バンクスは厳格ながらもすぐ思い煩んでしまう父親。主題は人生を楽しみ子供達に辛辣や厳格を押し付けないこと。ウォルトは本作で子供が観たいもの全てを表現した。
3スジ2ヌケ5ドウサ4テイジ5コノミ