
Once Upon a Time in the West
★★★★
1968年/175分 #セルジオレオーネ #西部劇
滅び行く定めのガンマンと時代の落日を女性視点で描いた大河劇。五感を研ぎ澄ましレオーネ美学を体感しよう。楽曲もモリコーネ芸術の到達点、必聴。
国民の創生の話。米国代名詞のスターを集結させ西部劇の形式を借り祖国を斬った。西部劇の消滅は商業ビジネス、ガンマンの消滅は経済発展、を意味する。レオーネは歴史を遡り、伝統を踏襲しつつ、米国最後の瞬間を絢爛華麗に再構築した。
オープニングの話。冒頭は真昼の決闘。時間は緩やかに流れ、音楽は風と滴と蝿で紡ぎ出す。機関車が去り突然ハモニカ登場の演出、時間と音楽に緩急を持たせた名シークエンス。また、米国秩序の象徴、長身碧眼のフォンダが大悪党、殺人場面はTV放映時に茶の間を凍てつかせる為、カットされる程の社会現象となる。「二頭余る」は西部劇の歴史に残る名言。
高級娼婦の話。ジルの結婚理由は極めてシンプル、生きる為と欲望のままに夫殺しの男に抱かれる彼女は生命に溢れている。時は移れど人は変わらない。シャイアンの教え「尻を触られても知らん顔しろ」は女神としての女性の存在意義を決定付ける。
台詞の話。言葉は僅少ながら情念が宿っており意味は奥深い。「あれを止める時、何かが起こる」「何が狙いか言ってくれんか/死ぬ時にな」「ここはいい町になる/いつか戻ってきて/…いつかな」。友は去り、汽車と言う未来がやって来る。
4スジ5ヌケ4ドウサ4テイジ5コノミ