
One Flew Over the Cuckoo’s Nest
★★★★★
1975年/133分 #ミロスフォアマン
カーク&マイケル父子が10年越しで実現させた企画。シンプルな脚本、率直な演出、個性的な演者が奇跡を生んだ。
現実の話。カッコーの巣は精神病院の俗語。病院や全ての医師は本物で演者は病棟に10日間缶詰めされて役になりきった。グループセラピーも実際に開催した模様を隠し撮りし採用。ほぼドキュメンタリー。
体制の話。婦長の邪悪さは普遍的、邪悪は善意から派生する。天使の微笑みを湛え窓辺で仁王立ちし患者を見張る彼女には善と悪が共存する。チーフの「親父はデカかった」はインディアン全体を差す。彼等はREDパワー運動で白人からの独立を望んだ。対して黒人達は白人との平等を求めた。結果、独立は怠惰と解散、平等は自由と機会を彼等にもたらす。白人経営に黒人看守の管理体制は観客も患者に変える。
自由の話。設定は63年、当時の打順を再現した空想の実況中継でニコルソンは名優の仲間入りを果たす。バスの乗っ取り観光やボートの船遊びは自由の素晴らしさを鮮明に映し出す。噴水器の持上げは伏線ともなる見所で「でも努力はしたぜ」はこの作品の主題。
解放の話。ロボトミー手術は40年代に最盛期を迎えケネディ家隠蔽事件を経て63年に福祉政策施行されたが大統領暗殺で頓挫。ラストのパーティーはさながら最後の晩餐で締め括りは弱者の反乱。チーフが彼を抱き締めて「行くぞ」と声をかける。彼等は全てから解き放たれた。
5スジ5ヌケ5ドウサ5テイジ5コノミ