ローマの休日

Roman Holiday

★★★★★

1953年/118分 #ウィリアムワイラー #ラブストーリー

ワイラー監督中期の最高傑作。テーマは「言わぬが花」。脚本の裏側に潜む真意と、映画芸術の根幹となる表情や仕草による映像表現の究極形を堪能すべし。

女優の話。権力への反抗を表現するには、当時のトレンドであるMモンローやBバルドーらの凹凸のある豊潤ボディではなく、アスリートの様な戦士ボディが必要とされた。そこに合致したのが気品ある顔立ちとダンサー的な躍動美を併せ持つAヘップバーン。ワイラーの手に掛かれば女優も愛玩の対象から自由な存在へ変化する。初主演でのオスカー獲得は納得。

ラストシーンの話。王女と記者の去り際となる振返りの違いに、両者の決意の違いが隠されている。両者の尊厳に違いを持たせる事で、二人の未来までをも予見する。

衣装アレンジの話。服装の崩し方で王室という権力への内なる反抗が彼女の中で徐々に高まっている事を暗示した。彼女の最終決断に至るまでの過程こそが、彼女の人間的成長を物語る。

ローマロケの話。観客は有名な観光地を目にすることで、閉塞感のある現実の世界から、解放感のある自由な世界へと瞬時に誘われる。我々は意図せずに自然と王女に同化していく。

立場の話。国家の象徴である王女と大衆の象徴である記者、この相容れない二人が陥った恋は決して成就する事はない。物語の表面には現れない脚本家の置かれた赤狩りの背景が仄かに匂います。

記者会見の話。好きな都市?隣国との関係?等の回答に集団や身分より、個人の意思こそが重要との想いが託されています。私も感情が思わず溢れました。

5スジ5ヌケ5ドウサ4テイジ5コノミ

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