シークレット・サンシャイン

Secret Sunshine (밀양)

★★★★★
2007年/142分 #イチャンドン

主題はシネと修理工場社長キムが交わす会話「秘密の密に陽射しの陽、秘密の陽射しなんて素敵でしょう」。見所はチョンドヨンの表情の変化。少女から年増まで七変化、娼婦迄も演じ分ける。原本はキリスト教義。

発端の話。彼女は資産家の様に振る舞う事で住民から憐憫の情を受けない事を目論見、見栄を張った。彼女が本来持っている所持金は約90万円、家屋等は到底購入できない。彼女の小さい嘘が人心を惑わし誘拐事件を引き起こす。自分の息子を奪ったのは何かを彼女は次第に突き付けられていく。

閉鎖の話。地方特有の閉鎖性が物語には不可欠な要素となる。その為、主演以外の俳優は殆ど素人を採用し密陽地方の完璧な方言を再現した。韓国のキリスト教信者は全人口の26%と仏教を越えている。キム執事は薬局に当たっている陽射しを神の御心と表現したが信仰心のないシネにはただの光にしか写らない。その後、彼女は入信する。拒絶と受容の強度は正比例する人間の弱さが垣間見える。

因果の話。シネは家を除き込む少女を見かけて通報、少女は息子が通う弁論教室先生の娘。これが発端となり事件は進展する。また彼女は少女が不良から苛められている現場に遭遇し目を会わせるものの見過ごす。更には精神病院の退院後、入った理髪店で少女が理容師として登場するが、整髪の途中で逃亡する。彼女にとっての少女は自己暗部の比喩である。

陽光の話。彼女は誘拐電話を受け気付けばジョンチャン宅の前に立ち竦む。精神異常を来した際にも彼の自宅を訪問し「貴方もしたいの」と質問。彼は遣りきれぬ想いを周囲に当たり暴れ始める。これらは彼女にとっての陽光が彼である事を隠喩する。

変身の話。シネは教団の熱狂的信者に変貌する。教典の教えは汝の敵を赦し汝の敵を愛せよ。殺害犯の赦しを決意し面会に望むも犯人は感謝と共に「私も神によって赦された」と吐露、その必要が無い事を口にする。彼女は自分が赦す前に神が赦した事実を受け入れられず失神、彼女の信仰は消滅し自暴自棄から常軌を逸した行動を取り始める。そして彼女は禁断の果実林檎を剥きながら知らない内に自らの手首も切る。教義と共に自己も否定した。

終幕の話。シネは用品店の主人からインテリアを明るくした事での感謝を伝えられる。これは彼女が受け入れられた瞬間で、虚言や拒絶からは何も生まれない事を暗喩する。そして彼女はジョンチャンに連れられ帰宅、自宅の裏庭にはもう秘密では無くなった陽射しが差し込んでいる。彼に鏡を向けられ無言で髪を切る。

抵抗の話。シネは自尊心を保つ為に気丈に振る舞い満たされている振りをしていた。他人の視線を気にして虚言で円満を、悲嘆で同情を集める。罪人を赦し信望を集める様に行動するが見事に失敗する。青姦場面ではあらゆる嘘で懲り固められた自らの俗物ぶり、隠蔽していた抵抗を天に問う。「見えるか」

4スジ5ヌケ5ドウサ5テイジ4コノミ

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