
Plein Soleil
★★★★★
1960年/118分 #ルネクレマン #サスペンス
ほぼ全編、ナポリの眩しい太陽の下、物語は進む。暗闇は人の心の中だけと言うクレマン流メッセージを感じる。
三角関係の話。フィリップ、リプリー、マルジュは不安定で脆弱な関係。全員、互いを見下しながらも嫉妬している。リプリーは衣類の無断着用を見つかっても、完全犯罪を見透かされても、堂々としている。そして富豪に対して、憧憬の存在から一体化へと進んで行く。フィリップもまるでそれを望むかの様。マルジュも自分が解っておらず、常に揺れている。
殺害場面の話。ヨットでの侮辱が発端となって、マルジュが怒り三者に動揺が走って新たな負の感情が生まれる。殺害は計画的でありながらも衝動的、流れる様に進み瞬間で終わる。殺害前、穏やかな海が急転し荒れ始めるが、これは現実ではなく、心情が反映されたと受け止められる。また殺害後、浜に着くと、老人がバチあたりと漏らすが、これは殺害ではなく社会悪に対しての呟き。
自己催眠の話。階段で煙草を死体に咥えさせ捨てようとしてポケットに戻したり、死骸を安易に投げ捨てたり、彼は死骸を死骸として認識していない。殺害はフィリップの仕業と自らに強く言い聞かせている。それから彼の倒錯は徐々に広がっていく。
視線の話。ドロンが彼女の手にキスをする大写しの場面は彼の眼差しが悪魔的な美しさを放っている。役に卑しさは感じられず、むしろ高貴ですらある。ドロン伝説の始まりの瞬間だ。
5スジ5ヌケ5ドウサ3テイジ5コノミ