Taxi Driver
★★★★★
1976年/114分 #マーティンスコセッシ #ドラマ
監督の挑戦は見た世界を有りの侭に描く事。テーマは自らに課した孤独。
登場の話。トラビスは地獄から現世に降立つ吸血鬼､蒸気に紛れ金属棺で徘徊する。聖女ベツィは地上に舞い降りた天使､彼の対象は愛でなく執着。娼婦アイリスは墓場から這い出た亡者､彼と彼女は同類。彼は聖女を欲望の対象とし娼婦に清純さを求める自己破壊的な心理構造の持ち主。
性格の話。彼はポルノを嫌悪しながらも館に通い､罪の誘惑に晒される場所に望んで身を置く。また自分より下の者を苦しめながらも幇助したいという矛盾に苛まされフラストレーションを溜めている人種差別主義者。この話は矛盾した生活を変える必要に迫られ､空想を行動に移した男の物語だ。
撮影の話。色や対比の調整により場の雰囲気を劇的に変化させる。カメラの眼はマリオバーヴァの60年代ホラーをの如く､静かに不気味に蠢く。57STではシェーンのディゾルブ効果に倣い滑か且つ漸進的にNYの街を闊歩する。襲撃場面はタブロイド紙の如き雰囲気を漂わせ別世界の効果を生み出した。
命題の話。彼は遂に使命を見つける。ベツィに返されたままの花を燃やし想いを浄化､新生トラビスがモヒカンで1963年公民権運動悲劇の場所に参上する。彼は社会のゴミを洗浄する事が目的で自己実現の為に大統領候補暗殺を企てるが､失敗した事で客引き殺害に方向転換する。奇妙な感謝の手紙の後､ベツィを送りミラーを見る。彼の爆発タイマーが再起動を始める。
5スジ5ヌケ5ドウサ5テイジ5コノミ
