ダークナイト

The Dark Knight

★★★★★
製作2008年/152分 #クリストファーノーラン

主演はブルース#クリスチャンベール、ジョーカー#ヒースレジャー、ハービー#アーロンエッカート、レイチェル#マギージレンホール、アルフレッド#マイケルケイン、ジム#ゲイリーオールドマン、ルーシャス#モーガンフリーマン

主題はジョーカー発言「お前が俺を完璧なものにするんだ」。バットマンはジョーカーに自分を殺す理由を質問する。彼の回答は善悪が各々の存在があって初めて生かされる渾然一体なものである人間の本質を表している。

見所はフェリーでの究極選択場面。一般人と罪人が乗せられる2艘の船で各々、相手船を爆破出来るスイッチが与えられる。スイッチを押せば生き残られるが、その選択は乗組員に委ねられている。ジョーカーは神の寵愛を受ける人間共の醜悪さを予想し心踊らせる。

原作は#ボブケイン#ビルフィンガー「バットマン」。#ダークナイトトリロジー 第2作目。フランクミラー「ダークナイトリターンズ」を中心にキリングジョーク、ロングハロウィーン等から着想、題名はビルフィンガー「バットマン#1」により始めて使用される。

主義の話。英雄3人の主張は一貫している。バットマンは自警主義、ゴードンは法律主義、ハービーは二元主義にて全ての物事を捉える。バットマンは戒律、ゴードンは忠実、ハービーは揺動の中でもがき苦しむ人生の放浪者、常に真摯なる態度で物事に向き合っている。自らの使命に重きを置き一心不乱であるが故に困惑し徘徊する。

悪魔の話。キリスト教圏の教義に人は人を裁けないという教えが存在、人はあくまで神の代理としてのみ人を裁く事が出来るというもの。ジョーカーはミルトン「#失楽園」のサタンから引用され自由と自立の求道者。彼は殺人理由を持たず口避けの理由も話す度に異なる人物だが、その目的は本作で神の化身となるバットマンの寵愛を受ける人間達の誘惑にある。

寵愛の話。ヒースはモーテルに6週間缶詰で役作り。本作でのジョーカーは化粧や衣装、造形や表情に至るまで本人が独自の解釈で表現した創造の産物。彼は役作りに没頭するが余り薬物併用の中毒で狂気に走る。公開直前に28歳で急逝、死後アカデミー助演賞を受賞、故人受賞は#ピーターフィンチ 以来2人目で若さは史上4番目。

扇動の話。ジョーカーは人間の誘惑、神を汚す為の人を扇動を目的とする。人間の醜悪さを露呈させ神に反逆する民を餌としてイオスを破壊しカオスを生産する。彼に勝負の概念はなく負けて残念との感情は持たない。キリスト教に於ける善悪の定義を遵守した行動を取る。彼はマギーに狙いを定める。

生身の話。本作はバットマンはヒーローかと同時に正義は公正か、民衆から望まれているか等を問いかける。彼はスーパーパワーを持たず蓄えられた知性と鍛えられた肉体で勝負し富は自者ではなく他者の為に使用する二次的な物と考える生身の人間。

盲進の話。バットマンはゴッサムに暗躍する犯罪者を一掃する民間警察を標榜するが、此は国際的な非難の中、イラク戦争で集団的自衛権を発動した米国そのもので国家が抱える闇や矛盾を暗喩する。米国の独善的正義と同様に彼も街の全通信を傍受するシステムを勝手に作り正義に盲進する。

嘲笑の話。ジョーカーはブルースを見透かしている。彼は街の正義と愛する恋人のどちらを守るかの罠を仕掛ける。前者はハービー、後者はレイチェル。ブルースは迷う事なく恋人を選びヒーローではない弱さを露呈する。しかし彼は事前に予測、逆の住所を教え偽物ヒーローを嘲笑う。

卒業の話。ブルースはアルフレッドにレイチェルが選んだのは俺と発言。しかし彼女はハービーを選んでいる。ブルースはレイチェルの為にバットマン引退を決意し彼女に結婚する約束はまだ有効か問い掛ける。有効の答えと共に彼女のキス、直後に正体を明かせば結婚は夢と言われる事で彼はハービーを止められずヒーローを卒業する。

蘇生の話。アルフレッドはブルースが自分を選んだと勘違いしたままの方が良いと考えレイチェルの手紙を燃やした。彼は恋人と友人を一度に失い破滅寸前、愛の記憶しか今の彼を支えられない。大事な事は過去ではなく未来、真実を封印する事で平安を取り戻し蘇生の機会を伺わせる。此は皮肉にもバットマンの言葉に繋がる「真実だけでは人は満足しない、幻想を満たさねば」

4スジ4ヌケ5ドウサ5テイジ5コノミ

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