ゲッタウェイ

The Getaway

★★★★
1972年/122分 #サムペキンパー

キングオブクールと暴力の詩人の最強コンビが放つ西部劇風フィルムノワール。主題は夫婦の再生、殺人で絆を深める二人。トラックの国境越えは新婚旅行で逆祝儀の$3万は清々しい。ジムトンプソンの原作ではエルレイの王国に入る。そこは浪費と人喰いの世界、映像化不可能。

近代化の話。自由な鹿に組織化された人間、橋の模型は自由への希望。機械は人の敵で近代化の象徴、騒音は刑務所の単調さと閉鎖性を表す。近代化した米国脱出が二人の目的。人生はゲーム、王手は死を意味する。

夫婦の話。ルディは獣医の妻を寝取り夫の前で性交、アリは夫の為にベニオンと隠れて性交する。夫を無視して浮気相手と愉しみ自殺させる妻に夫に苦しみ浮気相手を射殺する妻。黙して語らぬ夫と攻めたてる夫。共通するのは全員が常に不安定な点。公園で見るドクの白日夢は秀逸、エデンの園で水遊びする二人は神々しく解放感に溢れている。

底辺の話。パトカーに追われ窮地に陥った二人の脱出法はゴミ収集車。刑務所同様に機械を敵とみなし鉄の威圧を感じさせる独創性。ドクはどん底迄墜ちてアリの大切さを知り過去と決別する「今ここでなら綺麗サッパリ捨てられそうだ」。苦難を乗り越える事が二人の罪の償い。

細部の話。ベニオンと会う船上では彼だけがフィルムノワールで他はテンガロン。過ぎ去る列車の後にスーツの裾が舞う。雑貨屋で購入した銃に紙包みを要求する。アリは異常な迄に言葉数が少ない。至近距離で撃つ際に手をかざす。全てに意味がある。作曲は当初ジェリーフィールディングも直前でクインシージョーンズに変更、理由は不明だがレッドパージが関与している。

4スジ5ヌケ5ドウサ3テイジ4コノミ

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