パッション

The Passion of the Christ

★★★★★
2004年/127分 #メルギブソン

主演はイエス#ジムカヴィーゼル、マリア#マヤモルゲンステルン、マグダラのマリア#モニカベルッチ、サタン#ロザリンダチェレンターノ

主題はイエスのマリアへの言葉「母よ全てが新しくなるのです」。人々の罪を償う為にイエスが味わった苦難を理解する事で我々は希望、愛、赦しを受け取る。

見所は鞭打場面。我々は鞭打ちや十字架を背負う場所に参加し人の愚かさや苦しみを1人で受ける神の子に心を震わせる。

原本はオリジナル。原題は英語でキリストの受難、監督の意向で各国の吹替版は制作されておらず字幕表示箇所も指定された。

監督の話。福音書通りの撮影も凄惨描写は賛否両論も神と認めぬイスラム諸国は好意的に受け止められる。ユダヤ人が悪魔の挑発で処刑を求めた場面は独人修道女アンナエンメリック「キリストの御受難を幻に見て」のみの物として司教団から反ユダヤ主義と批判される。95年Wライダーがパーティー会場で「オーブンドジャーズ」と差別的暴言を浴びた事を告白、意味は焼却炉を逃れた連中。監督の反ユダヤ的志向は上映時にユダヤ系団体の攻撃が反発心を高め後の人種差別発言に繋がったと言われる。

四方山の話。ジョンは毎日4~7時間をかけメイクアップ、肌は腫れ痛みで眠れない日が続き低体温症、肺感染、脱臼や数多の切傷打撲を負う。マヤは撮影中に妊娠、母性愛をより強く表現出来た逸話が残る。ロザリンダは眉を剃毛し男優に吹替られスローモーションで両性具有を演じる。ヨハネパウロ2世は全て真実と発言、米国では心臓発作の死亡事故が発生した。

七言葉の話。十字架上でイエスが語る最後の七言葉は福音書の記述。①父よ彼等を赦して下さい何故なら彼等は何をしているのか解らないからです②アーメン貴方に言います貴方は今日私と共にパラダイスにいます③女よ其処に貴方の子がいます其処に貴方の母が④わが神わが神どうして私を見捨てられたのですか⑤私は渇いている⑥終わった⑦父よ私の霊をあなたの手にまかせます

永遠の話。聖母マリアは処女懐胎から33年間、幼きイエスに駆け寄る時と変わらず愛を与え続ける。マグダラのマリアも姦淫の罪で逮捕され投石の中でイエスに救われて以来、彼を愛し抜く。民衆の仕打ちによる処刑の前で二人は何も出来ず寄り添い悲しみに暮れるだけだが言葉は要らない。彼は確かに実在する、受難は復活への橋渡しで我々は人類再生の瞬間を目にする。

運命の話。イエスは使徒12人と晩餐を催す。ユダは銀貨30枚と引換に彼を売るが罪の重さに耐えきれず首を吊る。ぺテロは彼の予言通り「私は彼を知らない」を3度唱えて悔恨する。ヨハネは彼の逮捕を2人のマリアに伝え受難を見届け、その後も行動を共にした。12使徒全員が彼の意思を継承し各国で布教活動を行うが彼等も非業の死を遂げる。

福音の話。福音書はエウアンゲリオンと呼称されギリシャ語由来の「良い知らせ」。受難の様子を新約聖書で記録しマタイ、マルコ、ルカ、ヨハネが記述、記載の事実関係は共通も体験や見解に相違が見られる。これらはイエスの生誕、奇跡、受難、復活が歴史的事実である事を物語る。外典としてトマスによる福音書も存在するが正典として認められていない。

背景の話。受難には政治、宗教的背景が存在、この時代のパレスチナやユダヤはローマ帝国の支配下で帝国派遣の行政長官は5代目ピラト、ナザレがあるガリラヤの王はヘロデ、ユダヤ最高権力者は大祭司カイアファで彼は最高法院議長や議会議長も兼任する政治宗教の頂点。彼等の様な守旧派がメシアやユダヤ人の王と称されるイエスを危険人物として帝国側への死罪要求は当然、ピラトが拒絶し命令するのは司教達を無視する事での暴動発生を危惧した為である。

監督の話。メルはカトリック一家に育ち父は神父を目指していた程の敬虔なる信者。以前の彼は聖書をお伽噺程度としてしか捉えていなかったが精神的危機を迎える事で信仰、慈愛、救済の想いを巡らせる。彼は自宅近くの丘にチャペルを建設した。

言語の話。脚本は死語とされるアラム語、其は古代ユダヤの言語で8世紀迄は英語より普及した。イエスも西アラム語を話し初期教徒は彼の生涯をアラム語で記述し伝承した。メルは言語学者ウィリアムファルコの力を借り台詞をユダヤ人はアラム語、ローマ人はラテン語に翻訳しネイティブ招聘でチェックした。

象徴の話。ピラト官邸の鳩は聖書の徴。イエスが洗礼を受けた後に聖書が鳩になり降りてきた事が新訳聖書で記述、聖書とは神で慰め主で助け主で弁護者。冒頭で踏みつける蛇は欺瞞の徴。創世記ではエデンの園でイヴを騙した蛇に神が叫ぶ「彼はお前の頭を砕きお前は彼の踵を砕く」

聖書の話。旧約は律法、預言、諸書が記されたイエス以前の物、新訳は福音書、書簡、黙示録が記された物。約1600年で身分と職業や時代を変えた40名が霊感を受け記述。現在の聖書は4世紀頃に異端思想を受けて教会が会議を以て聖典として認可、ユダヤ教では旧約だけが聖典でトーラと呼称する。

4スジ5ヌケ5ドウサ4テイジ5コノミ

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