The Ten Commandments
★★★★ 1956年/232分 #セシルBデミル
主演はモーセ#チャールトンヘストン､ラメセス#ユルブリンナー､ネフレテリ#アンバクスター､セティ#セドリックハードウィック､ベシア#ニナフォック､デーサン#エドワードGロビンソン。
主題はモーセ発言｢神の怒りを知れ｣。民の堕落を目の当たりにした彼は十戒の石板を金の子牛像に投げ入れる。十戒はシナイ契約とも呼ばれ神の意思を徴している。
見所は聖板への十戒刻印。聖焔からの炎筆による戒律刻筆は神々しく奇跡に満ちる。原作は｢旧約聖書｣出エジプト記20章から申命記5章。
意気の話。セシルは幕前に登場し観客に趣旨を示す。68年初公開､72年リバイバル､予告編でも同様に格別の感情表現で拍手喝采の一幕となる。セシルは人物をミケランジェロのモーセ像から偶像化､辮髪や布地等､時代考証にも力点を置いた。
四方山の話。モーセは十戒授与後に神から後に律法となる祭儀､倫理規定と法律を言い渡される。豚や鱗無魚の食用禁止や祭壇の寸法迄を指示､この十戒を基に神はイスラエル人と契約､神名ヤーウェが明かされる。原本では神が民に直接対話する事で混乱､これによりモーセが遣わされた形。キリスト教で旧約とはエジプト脱出とシナイ山契約を指し22章で呪術を使う女が欽定訳で魔女と訳された事で魔女狩りが開始される。
内容の話。十戒の詳細は前半は神､後半は人に関する項目。①主が唯一神②偶像の禁忌③神名の軽率唱和禁忌④安息日の遵守⑤父母の敬仰⑥殺人の禁忌⑦姦淫の禁忌⑧窃盗の禁忌⑨隣人への偽証禁忌⑩隣人財産の追及禁忌。これらは現刑法の根幹を成し安息日はユダヤ教が土曜､キリスト教が主復活となる日曜。
実在の話。モーセはエジプト出生のヘブライ人､神の啓示を受け虐げられたユダヤ人達を先導。彼は紀元前16世紀頃に実在した民族指導者。中世欧州ではミケランジェロやレンブラントの芸術に見られ多くの実像が現存､その姿は通常老人も欧州では角が生える､理由は角がヘブライ語で輝く意の説とモーセの顔が光り輝くのを角で表現した説の二つ。シナイ山も半島南部に実在する標高2500mの岩山､伝承は真実味を帯びた歴史。
因縁の話。当時のエジプトでヘブライ人は奴隷。国王セティは予言者から救世主の誕生を聞き彼等の反逆を警戒､誕生した全男児殺害を命令。その渦中でモーセの実母ヨシャベルが男児出産､葦籠に入れナイル川に流し奇しくもセティの娘ベシアが籠を受取る。彼女は幼子をモーセと命名し我が子として育てる。名前は水から引き上げた為､ヘブライ語で引き上げる意味のマーシャに因み命名。聖書では姉の機転で実母を乳母として王女に雇われたとされる。因果は応報する。
転生の話。モーセは王セティや王女ネフレテリからの寵愛を受ける。王位継承前夜､召使メムネットがネフレテリに彼の秘密を暴露､彼女は庇うがモーセが出自を知り自らヘブライの民へ還る。そして王子ラメセスに出生の秘密を握られ砂漠に追放､放浪の末にシナイ山麓で羊飼の仲間達に救われ族長ジェスロの娘セファラを娶り新生活を始める。
奇跡の話。モーセの元にヨシュアが訪問､エジプトに戻り民の自由解放を懇願する。彼はシナイ山頂から不思議な力に導かれ山を登り頂上で光を見る。神は光の中からヘブライ人をエジプトより導き出す様､彼から啓示を与えられ､エジプトに戻り新王ラメセスと新王女ネフレテリの前でヘブライ人の解放を要求､応じない場合は神が十の災いをエジプトに与えると警告する。
災禍の話。王は首を縦に振らない。モーセは主が貴方に現れないと言われた際に与えられた3つの徴を発揮する。一つは杖が蛇になる､一つはナイル川の水が血に変わる､一つは手が癩病で雪の様に白くなる。本作で最後は示されないが､2つは劇中で劇的効果を生み出す。国土は次々に災禍に襲われ最後の災い｢門に子羊の血を塗らない家の長男は死ぬ｣が全土に広がり幼子の王子も死の淵に立たされ王はヘブライ人の解放を宣言する。
神通の話。ヘブライ人達はモーセとヨシュアを先頭にエジプトを旅立つがラメセスは王子を亡くした事で軍を引き連れ攻撃に転じる。彼等は紅海に追い詰められるがモーセが神に祈り神は火の柱でラメセス軍の進攻を妨げ紅海を割り彼等を海の廻廊に誘導。通過後､火の柱は消えラメセス軍は海の藻屑と消える。ラメセスはネフレテリの元へ戻り彼の神こそ真実の神と告げる。
刻筆の話。モーセは民と荒野の旅を続けるが民は度々水や食糧の不平を言い､彼はその度に食料を与え続ける。この時の白い蜜入ウェハースはマナと呼ばれる。シナイ山到着後､モーセは40日間､山に籠り続け神の光が岩に人間が犯してはならない十の戒めを刻み彼に与える。
流浪の話。ヘブライ人は金の仔牛の偶像崇拝を始め享楽に耽る。神は怒り火柱を起こし大地を割り罪深き人々を突き落とし､その後40年に渡りヘブライ人を荒野に流離わせる。一行はネボに辿り着きモーセはヨシュアを後継者として杖と衣を与え妻セファラに別れを告げる。彼はカナンを目指す彼らを残し神前となるネボ山に一人登り去る。
4スジ4ヌケ5ドウサ3テイジ4コノミ
