
TOKYO!
★★
2008年/110分 #ミシェルゴンドリー #レオスカラックス #ポンジュノ
主題は東京のあるべき姿。見所は三者三様の東京イメージ。原本はオリジナル脚本。
第1話インテリアデザインの話。世界の中でも東京の住宅、就職問題は深刻だ。日本の総面積価格で米国全土が買えるデータも発表される中、環境は劣悪化を極める。役者のヒロコは彼氏である監督のアキラと東京で生活する為、友人アケミの家に転がり込む。アケミは宿泊させた上に代理店勤務の叔父を紹介、世話を焼くが2人の新居は見つからず不器用なヒロコは就職先も決まらない。東京は日本国籍を有する若者をも難民化させる不思議な迷宮だ。
思遣の話。ヒロコの車が彼の大事な映画機材毎、レッカー移動される。彼女は機材を事前に移動したと嘘をつきレッカー先に回収を依頼、係員は駄目の一点張りも別係員が親切に対応してくれる。この街は社会規律を徹底する厳しさと困っている人を助ける優しさを同時に保有する。
所在の話。アキラは映画が上映されアケミの代理店勤務の親戚から声を掛けられるが格好をつけ誘いを断る。ヒロコは彼とアケミが自分の悪口を話すのを耳にして翌朝、椅子に変身する。彼女は人間と椅子の世界を往来しながら通りすがりのミュージシャン宅に潜入する。彼女は彼に手紙を認める「私は人の役に立つ悦びを感じながら元気に生きている」。誰もが自分の居場所を求めている。そこに余計な見栄や建前は不必要だ。
第2話メルドの話。地下から這い出た青年は国民を恐怖に落とし入れる。民衆から下水道の怪人と呼称された彼は渋谷に手榴弾を投下し死屍累々の山を作る。警察は潜伏先の下水道を突き止め逮捕するが言葉が通じず身動きが取れない。彼は一文字菊しか食べない。菊は皇室の紋章、彼が国家を喰らう事を比喩する。
刑罰の話。怪人は仏人ボランド弁護士の通訳により、名前は糞という意味のメルドである事が解る。裁判では大量殺人の理由を問われ、神が自分を一番嫌いな罪なき人間達の所に送り込んだと答えた。そして絞首刑は嫌だと主張。因みに絞首刑は米国で非人道的との議論が起こった行為、13段の階段は最後の晩餐13人に由来している。
啓示の話。神の排泄物メルドは反発と支持を集める。民衆は連日、死刑と自由を求めるデモを開催するが死刑が宣告される。3年後、彼は祈りを捧げつつ絞首刑を終えるが、直後には再生し皆の前から姿を消す。予告字幕「次回NY編」が流れ終焉。これは神の怒りや人の腐敗が世界的規模である事を伝えている。
第3話引き籠りの話。10年間一人暮らしで引き籠る男は父からの仕送りで生活している。唯一面会する郵便や宅配の配達人とは口を利かず目も合わせない。彼の部屋には本やピザの空箱が整然と並ぶ。その彼が11年ぶりに人と目を合わせる。相手はピザ宅配人の女性。その時、地震が発生し、彼女は玄関先で失神する。彼女の腕に感情、脚が電源のボタンが刻印されており、電源ボタンを押すと彼女は目覚め「この家は完璧だ」と言い残し去っていく。これは汚染された大都会への警鐘と受け取れる。
宅配の話。衝撃的体験から2日、再度ピザを依頼すると別の男性配達員が訪問する。彼は勝手に電話する傲慢さを見せるが、彼女の事を尋ねると退職し永遠の引き籠りになった事や住所を教えてくれ、ピザ代も取らずに帰っていく。宅配ピザ屋が東京殲滅の拠点、配達員が鎮圧部隊である事を匂わせる。
逆転の話。彼は彼女に会いたい一心で遂に外出するが町中が引きこもり状態となっている。ここに逆転現象が生まれる。彼は彼女の家を訪ねるが返答はない。その時、再び地震が発生、揺れが収まり気付けば避難した彼女が目前に佇む。戻ろうとする彼女の腕を掴んだ時に偶然Loveボタンを押す。二人に電流が流れ再び地震が発生する。地震は心中の動揺と変化を暗喩している。
2スジ3ヌケ2ドウサ3テイジ2コノミ