
Une aussi longue absence
★★★★
1961年/98分 #アンリコルピ #ドラマ
テレーズはカフェのオーナー。生きる為だけに働き、常連客とのバカンスが唯一の愉しみ。女盛りを過ぎた彼女の前にセビリアの理髪師を口ずさむホームレスが登場、物語は動く。浮浪者と国情が重なる点にも注目。
偏愛の話。オペラ、記憶喪失、行方不明の夫、これらが彼女に火を点け女の性を呼び覚ます。ジュークボックスのレコードを変える度に彼女は覚醒し美しくなっていく。最後の台詞「寒くなれば戻ってくる」は彼女の偏愛が永遠且つ連鎖する事を暗示する。
戦禍の話。夫は16年前に不当逮捕で強制収容所送りとなった。ホームレスも同じ過去を持つ。彼は忘れた記憶を補い、楽しい記憶だけを遺すかの様に写真を切り抜き収集する。ラストで咄嗟に出るホールドアップは条件反射だ。拭えない体験、傷痕は決して消えない。
食事の話。帽子を脱いでご馳走を、食後のレコードに夫婦思い出の曲でダンスを。二人の距離感は夫婦の真相に疑問を投げ掛けつつ付合い初めの初々しさも匂わせる絶妙な間合い。直後には鏡越しに飛び込んでくる脳手術跡。甘美なワインの後に辛酸なるデザート、緩急を織り混ぜた絶品ディナーを召し上がれ。
事故の話。絶叫する彼女は明らかに錯乱状態に陥っている。闇夜に集う住人は異様、まるで町ぐるみで彼女を援護するかの様だ。住人達は夫の名前を叫ぶ。ホームレスは冒頭は他人、結末では夫。これも異常性を高める要因だ。
4スジ4ヌケ5ドウサ5テイジ4コノミ